第28回 AMD Award '22

優秀賞

  • ファスト映画アップローダーに対する損害賠償請求訴訟の勝訴判決

[受賞者]
一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構(CODA)

[関連会社]
アスミック・エース株式会社 株式会社KADOKAWA ギャガ株式会社 松竹株式会社 株式会社TBSテレビ 東映株式会社 東映ビデオ株式会社 東宝株式会社 日活株式会社 日本テレビ放送網株式会社 株式会社ハピネットファントム・スタジオ 株式会社フジテレビジョン 株式会社WOWOW

ファスト映画アップローダーに対する損害賠償請求訴訟の勝訴判決|第28回AMDアワード優秀賞

授賞理由

映画の映像を権利者に無断で使用し、ナレーションをつけるなどをして10分程度に編集、要約した動画を無断アップロードする「ファスト映画」問題はコロナ禍の巣ごもり需要の影響を受け深刻化していた。そうした中、一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構(CODA)および一般社団法人日本映像ソフト協会(JVA)の会員企業13社からなる原告は、2022年5月にファスト映画を無断アップロードしていた被告に対して損害賠償請求訴訟を東京地方裁判所に提起。同年11月に5億円の損害賠償金の支払いを命じる判決が言い渡され、ファスト映画をめぐる賠償に司法判断が下る先駆的ケースとなった。著作権侵害行為が高額損害賠償金を課せられることを示し、違法配信者に対する警告となった意味は大きい。本件において複数社にまたがる原告の窓口としてまとめあげると同時に、著作権の適性な保護、流通を目指して国内、海外をまたがる積極的な活動の意義はさらに大きくなっていくものとして評価する。

受賞コメント

この度はAMD Award優秀賞に選出していただき、大変光栄に思っております。

今回の損害賠償請求事件は、いわゆる海賊版対策の一環です。わが国コンテンツの海賊版問題に対する関心は高いとは言えず、その対策強化について、企業ベース、政治ベース、消費者ベースでまだまだ意識が低いのが現実です。

今回のわれわれの取り組みが、コンテンツ産業の振興推進に資すると評価いただきましたことに感謝いたします。この受賞が契機となり、海賊版問題とその対策の重要性について広く知っていただければ幸いです。

取組紹介

2022年5月19日、一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構(CODA)および一般社団法人日本映像ソフト協会(JVA)の会員企業13社からなる原告は、ファスト映画を無断でアップロードしていた被告3名に対する損害賠償請求訴訟を、東京地方裁判所に提起しました。

被告らは原告13社54作品のいわゆる「ファスト映画」を作成し、YouTubeにアップロードすることで広告収入を不当に得ていたとして、2021年6月に逮捕され、同年11月にそれぞれ有罪判決を受け、同判決は12月1日に確定していました。

この損害賠償請求訴訟の提起は、「ファスト映画」を含めた著作権侵害による権利者の損害回復を求めるとともに、著作権の適正な保護と健全な正規流通促進の実現を目指すためのものです。

2022年11月17日、東京地方裁判所は、「ファスト映画」をアップロードした2名に対し、著作権侵害による損害賠償5億円の支払いを命じる判決を言い渡しました。

受賞団体プロフィール

コンテンツ海外流通促進機構(CODA) は、2002年にわが国政府の「知的財産立国宣言」を受けて、音楽、映画、アニメ、放送番組、ゲーム、出版などの日本コンテンツ産業の積極的な海外展開の促進と海賊版対策を目的として、経済産業省と文化庁の呼びかけによって設立された団体です。CODAは、日本国内外の政府機関、業界団体、コンテンツ関連企業(コンテンツホルダー)などとの連携を図りながら、海賊版対策をはじめとした各種活動を展開しています。