第30回 AMD Award '24

30周年記念特別賞

  • 村井 純
    慶應義塾大学 教授
功労賞 宮本 茂 任天堂株式会社 代表取締役 フェロー|第30回AMDアワード優秀賞

授賞理由

「インターネット」という概念がほぼ知られていなかった1984年、日本で初めてインターネット接続に成功した、日本におけるインターネットの先駆者。1988年には産官学が連携するWIDEプロジェクトを創設し、日本のインターネット基盤の発展と普及を牽引。動画配信など、今や当たり前のサービスが実現できるネット基盤を作り上げた。インターネットが相互に接続しやすい「NSPIXP」の構築や、IPv6の研究と普及など、その成果は非常に多い。また、政府のIT政策にも多数関与し、インターネットの安全性や教育の推進にも尽力している。こんにちのデジタルコンテンツの礎を作ったその功績を讃える。

受賞コメント

インターネットが実際に世界に広がったのは、我が国では具体的には1995年の阪神・淡路大震災だといわれています。人々のメッセージをグローバルに伝えること、グローバルに一つの技術標準で貫くこと、それにより基盤を利用した新しい力が生まれること、を心がけて世界の仲間とインターネットを構築してきました。インターネット上での言語表現の技術提案は、日本語をきっかけに、今では世界中の言語が表現できるようになりました。あらゆる言語がどこからでもアクセスできる、多文化コンテンツへの日本発の功績となりました。ビデオや音声ストリームの標準化は、MPEGを始め日本がリーダーシップを担う各種技術をW3Cの場でインターネット上に標準展開したことによって実現したことです。インターネットはコンテンツの既存産業に負のインパクトを与えたとも言われたこともあります。一方、コンテンツの本質である創造力とそれを生み出す新しい力が拡がることにも貢献してきました。デジタル技術がAIや量子コンピュータの出現で発展し続ける中、日本のコンテンツとその創造者が、これからの「インターネット文明」の発展を先導していくように皆様と共に努力していきたいと思います。

受賞者プロフィール

慶應義塾大学教授。工学博士。1984年日本初の大学間コンピュータネットワーク「JUNET」を設立。1988年インターネットに関する研究コンソーシアム「WIDEプロジェクト」を発足させ、インターネット網の整備、普及に尽力。初期インターネットを、日本語をはじめとする多言語対応へと導く。内閣官房参与、デジタル庁顧問、他各省庁委員会主査等を多数務め、国際学会等でも活動。World Wide Web Consortium(W3C)においてBoard of Directorを務める。2013年ISOCの選ぶ「インターネットの殿堂(パイオニア部門)」入りを果たす。「日本のインターネットの父」として知られる。著書に「インターネット文明」(岩波新書)他多数。

活動紹介・受賞歴等

工学博士。1984年日本初の大学間コンピュータネットワーク「JUNET」を設立。1988年インターネットに関する研究コンソーシアム「WIDEプロジェクト」を発足させ、インターネット網の整備、普及に尽力。初期インターネットを、日本語をはじめとする多言語対応へと導く。

社団法人情報処理学会フェロー、日本学術会議第20期会員。その他、各省庁委員会の主査や委員などを多数務め、元ICANN理事、元ISOC(Internet Society)理事、元IAB(Internet Architecture Board)メンバーなど国際学会でも活躍する。日本人で初めてIEEE Internet Awardを受賞。ISOC(Internet Society)の選ぶPostel Awardを受賞し、2013年「インターネットの殿堂(パイオニア部門)」入りを果たす。一貫してインターネットを中心とした技術基盤の研究に携わっており、「日本のインターネットの父」、海外では「インターネット・サムライ」と称されている。

主な受賞歴
2005年  Internet Society Jonathan B.Postel Service Award
2011年  IEEE Internet Award
2011年度 大川賞
2013年  Internet Society Internet Hall of Fame (Pioneers)
2019年  フランス共和国レジオン・ドヌール勲章シュヴァリエ
2019年  福澤賞
2020年  C&C賞

著書「インターネット」、「インターネットII」、「インターネット新世代」「インターネット文明」(岩波書店) 著、「角川インターネット講座」第1巻「インターネットの基礎 情報革命を支えるインフラストラクチャー」(角川学芸出版)著、「角川インターネット講座」全15巻(角川学芸出版)監修、他多数。