第19回 AMD Award '14
特別功績賞
- 浜野 保樹
授賞理由
故浜野保樹氏は、1995 年の第1 回 AMD アワード開催以来18 年にわたり審査員長を務め、本アワードの基盤確立の中心として尽力した。審査にあたっては「優れた制作活動を行った個人やグループをコンテンツ制作者の立場から表彰することにより、人材育成を推進する」との方針を一貫して掲げ、本アワードの果たす役割や意義をコンテンツ・エンターテインメント業界に広く浸透させた。このコンセプトは、本アワード受賞を機会にその後大きく活躍の場を広げる人材が多数生まれる等、コンテンツ制作の現場に勇気を与え、業界全体の振興および活性化に大きく貢献している。
またAMD アワード以外にも、文化庁メディア芸術祭運営委員や国際漫画賞実行委員などを通じて日本コンテンツの素晴らしさ・国際競争力の高さを主張し、さらにコンテンツ産業への助成事業にも尽力するなど、氏の果たした功績の大きさは図り知れない。
受賞者紹介
我が国におけるコンテンツ制作の学術的な教育と研究の基盤を整備することに貢献した。平成13 年に学術研究の文献集『原典メディア環境学 1851-2000』、平成15 年に教科書『表現のビジネス』を作成し、これによりコンテンツ制作の研究や教育を可能にしたことから、コンテンツに関連する学会、大学の学部学科の設立に貢献した。このような実績をもとに、平成16 年文部科学省科学技術振興調整費(新興分野人材育成)による「東京大学大学院情報学環コンテンツ創造科学産学連携教育プログラム」の中核メンバーとして、東京大学のコンテンツ人材のカリキュラム作りやコンテンツ制作に関する授業モデルを構築し、現在も「東京大学学部横断型教育プログラム」として継承されている。
また研究成果を実践的に活用し、多くの政府機関の審議会の委員ならびに委員長を歴任し、我が国のコンテンツ文化政策に貢献した。平成17 年7 月内閣官房知的財産戦略本部コンテンツ専門調査会委員、平成18 年4 月外務省海外交流審議会座長代理、平成19 年8 月内閣官房知的財産戦略本部コンテンツ・日本ブランド専門調査会委員などでは、我が国の国際競争力としてコンテンツを活かす取り組みの先鞭をつけた。また、平成7 年文化庁『メディア芸術祭』、平成7 年総務省「AMD アワード」、平成13 年経済産業省『デジタルコンテンツグランプリ』、平成19 年外務省「国際漫画賞」など顕彰制度の創設を主導し、いずれも現在まで継承され、とくに文化庁「メディア芸術祭」は集客数が世界で14 位(英国ArtNewspaper 調査)の展示会にまで成長させた。顕彰制度は我が国のコンテンツ制作の普及啓蒙につながった。
ハリウッド映画や、日本のアニメーション産業など、メディアやコンテンツに関連した卓越した著述を行うとともに、海外と日本をつなぐかけがえのない国際的活動において先駆的な役割を果たしたことから、平成22 年情報文化学会国際賞を受賞した。また、我が国におけるコンテンツ制作の学術的な教育と研究の基盤を整備することへの貢献により、平成24 年6 月東京大学名誉教授の称号を授与された。