第22回 AMD Award '16
優秀賞
- この世界の片隅に
[受賞者]
「この世界の片隅に」プロデューサー
株式会社ジェンコ 代表取締役社長
真木 太郎
[制作・関連会社]
「この世界の片隅に」製作委員会
授賞理由
太平洋戦争中の普通の女性の日常を描いたアニメ映画が日本に感動を 巻き起こした。
食事や町並みから空襲の様子までを再現した取材力、すずさんの語りや音楽をはじめほのぼのとした空気を作りだした演出力、主義主張を押し付けないからこそ感じさせたメッセージ性、どれも見た人の心にしみるものとなった。
また、不可能と思えた映画化をクラウドファンディングで実現し、観た人たちがその感動をSNSに書き込んでいったのも新しい時代を象徴していた。
63館での公開が3カ月を経て累計で300館を超え、観客は180万人興行収入は23億を超えた。制作費や宣伝費が十分になくとも、作品は作れヒットさせることもできることを示した。
その熱意、アイデア、完成度を高く評価した。
受賞コメント
AMDアワードには随分前に故浜野保樹さんに誘われて何回かお邪魔したことがあります。浜 野さんにはいつも励まされ私が故今敏監督作品をプロデュースした時の苦労も聞いて頂き ました。その浜野さんが「次は片渕だ」と言っておられたのを思い出します。浜野さんが「この世 界の片隅に」をご覧になればどんなに喜んでくれたかと思うと胸がいっぱいです。
本当にありがとうございました。
受賞作品紹介
原作は、第13回文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞したこうの史代さんの同名マンガ。心に染みる この原作を、映画『マイマイ新子と千年の魔法』の片渕須直監督がアニメ映画化。NHK「花は咲く」アニメ版で感動を呼んだふたりが再びタッグを組む。クラウドファンディングを実施し、日本全国多くからの「この映画が見たい」という想いで製作が決定。6年の歳月をかけ徹底的な考証を行い、広島県産業奨励館(現・原爆ドーム)など、現在は見ることができない街並みも活き活きと再現。主人公のすずさんたちがまるで実在したかのように描き出す。大変な毎日でも工夫を凝らして生きていく、すずさんの姿が、すべての世代に静かで確かな勇気を与える。
受賞者プロフィール
1955年岐阜県生まれ。早稲田大学法学部卒業後、映像制作の株式会社東北新社へ入社。1989年 からTVアニメ「機動警察パトレイバー」シリーズのプロデュースを手がけ、1991年パイオニア LDC株式会社に移籍。
アニメだけにとどまらず、1994年には実写映画「エンジェル・ダスト」(石井聰互監督)、「毎日が夏休み」(金子修介監督)のプロデューサーとしても活躍する。その後、1997年株式会社ジェンコを設立。