第23回 AMD Award '17
優秀賞
- 漢字6万字の国際標準化
[受賞者]
独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)国際標準推進センター
[制作・関連会社]
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
授賞理由
漢字を含む日本語の文字コードは、1978年、約6000種が初めて策定され、その後2002年時点で約1万種が規格化されていたが、人名や地名の表記には不足があり、戸籍の電算化、住民台帳等での必要に応じ、現場毎に独立な文字種の拡張が進んでいった。
これらの文字に統一的なコードを付け、相互運用が可能なものとするため、2002年、経済産業省が文字の調査を開始し、2009年に「約6万文字」という調査結果を得た。これをもとに、IPAが文字のデザイン、コード付けやデータベースなどの開発を進め、2017年12月22日、文字コードの国際規格である「ISO/IEC10646」の最新版に反映されるかたちで発行。
漢字の統一規格化の調査から完了まで、15年間に渡る事業を称える。
受賞コメント
ITシステムで文字を扱うには、文字に番号をつけなくてはなりません。世界中の技術者が協力し、人類全ての文字に統一的な番号をつけようと、国際規格作りを進めています。これまで約14万の文字に番号が付きましたが、日本人が必要とする約6万の文字をその中に収めることができました。とても地味な仕事ですが、栄えある賞をいただき、光栄であるとともに、長年に渡ってこの作業に関わってこられた多くの方々の努力の賜物であると感謝しております。この規格が日本の文化を支える基盤として活用されてゆくことを期待します。
受賞作品紹介
文字は、人と人とがコミュニケーションするために用いる最も基本的な道具です。日本人は、文字を、単に、意味を伝えるための道具としてだけでなく、漢字の多様なバラエティを、氏名等のアイデンテイティを表現するための道具としても大切にしてきました。そこで、日本人の必要とする約6万の漢字を、全てのITシステムで使えるようにするための国際規格化に取り組み、経済産業省による8年間に渡る調査事業を含め、15年にわたる作業により、これを達成しました。これにより、今後、ITシステム上で、だれもがこれらの文字を使い、伝えることができるようになります。
受賞者プロフィール
IPA(情報処理推進機構)は経済産業省所管の独立行政法人です。頼れるIT社会の実現に向け、(1)サイバー攻撃から社会を守ること、(2)ITシステムの安心・安全の確保、開発・利活用の効率化、(3)未来のIT社会を担うビジネス支援、セキュリティやIT人材の育成、の3本の柱で事業を進めています。国際標準推進センターでは(2)のITシステムの利活用の効率化の一環として、繋がったITシステムがデータのやり取りを誤解、誤りなく行うための基盤整備を行っています。