第26回 AMD Award '20

リージョナル賞

  • 「碑の記憶」プロジェクト

[受賞者]
株式会社 岩手日報社/株式会社 IBC 岩手放送

授賞理由

「碑の記憶」プロジェクト|第26回AMDアワード優秀賞

2021年の東日本大震災10年を見据え、2年前の3月11日から始まったデジタルプロジェクト。地域の新聞社と放送局が垣根を越えて手を携え、地域で伝承すべき災害の記憶を、VR映像などのデジタル技術を使って未来に伝える活動を続けている。
デジタル化されたコンテンツは、両社のホームページでの閲覧だけでなく、岩手県内の中学、高校での「震災学習」でも活用されていて、授業には両社から講師を派遣。新聞紙面やVR映像の活用のほか、生徒自身がGoogleMapを活用して碑のマッピングをするなど、新たな形での教育展開にもつながっている。
地域のメディアが連携し、東日本大震災や過去の津波災害や東日本大震災の記憶を「デジタルで風化させない」取り組みは、「現代の碑(いしぶみ)」として、地域の未来を担う若い世代へ確実に伝わり始めている。

受賞コメント

東日本大震災から10年の節目に、地域での地道な活動に光をあてていただきありがとうございます。三陸沿岸に残る石碑には津波災害を経験した先人の思いが刻まれ、また東日本大震災の震災遺構には被災した人々の思いが詰まっています。その思いをデジタル技術でさらに伝えていこうと、地域の新聞社と放送局が手を携え、ひとつひとつ丁寧にコンテンツを作り上げてきました。今回の受賞は、これからの地域メディアの在り方や方向性についても背中を押して頂いたように思います。

作品紹介

幾度も津波に襲われた岩手県沿岸には、津波災害を伝承する「石碑」が2百以上残る。「碑」に刻まれた津波の記憶と、東日本大震災津波を未来に伝える「人」の物語をあわせて地元紙が企画 記事を連載。これを基に地元放送局がVR(バーチャルリアリティ)技術を使い、碑に刻まれた文言も音声化し「石碑」や「震災遺構」を映像化。GoogleNewsInitiative(GNI)の協力も得て2019年3月11日、両社ホームページに共通の特設サイトを開設。毎月命日にVR動画を公開し、記事をアーカイブし続けている。地域に伝わる津波災害の記憶を、VR映像など最新のデジタル技術で表現したWEBサイトは、まさに「現代の碑」。岩手県の中学、高校のICT教育、震災教育の教材としても活用され始め、その授業にはNTTドコモ東北支社がタブレット端末を無償貸与するなど、取り組みの輪が広がりつつある。

受賞者プロフィール

岩手日報社が2018年秋から始めた連載企画「碑の記憶」。これをもとに過去の津波災害や東日本大震災での教訓を、デジタルの形でも未来へ残していこうと、岩手日報社とIBC岩手放送がプロジェクトチームを結成。石碑を身近に体感してもらうVR(仮想現実)での映像化、連載記事のWEBコンテンツ化を進めている。2019年3月11日に両社のHPに共通サイトを開設してコンテンツの公開を開始。地域の新聞社・放送局の共同プロジェクトとして、津波災害の「デジタルアーカイブ化」、「災害の伝承」に取り組んでいる。

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