第28回 AMD Award '22
AMD理事長賞
- silent
[受賞者] フジテレビ 木曜劇場「silent」
[制作・関連会社] 株式会社フジテレビジョン
授賞理由
今の若者たちのテレビドラマ離れが指摘される中、フジテレビの「silent」は 最高の感動と新しい楽しみ方を生み出した。
東京・世田谷代田を舞台に、声がなくても愛が伝わる設定と演出、事情がわかると前に戻って観たくなる伏線と回収など、今の若者たちの空気感をオリジナルドラマとして見事に描き出した。放送後はtwitterの世界トレンドで毎週のように1位を獲得し、見逃し配信の再生回数も全11話で6191万再生と歴代最高を記録した。また、テレビの前にいない若者に届けるため、「エピソード0」ドラマやドキュメンタリーといった複数の配信オリジナルコンテンツを作成したり、SNSではスポーツ中継延長時に本編に入りきらなかった未公開シーンや小道具の投稿をする等、今の生活スタイル合わせたきめ細かな工夫も光った。時代を切り取るセンスと新しいことに挑戦する姿勢を高く評価した。
受賞コメント
『silent』は、本当に静かなドラマです。10分近く手話による衣擦れの音しか聞こえない、そんなことも何度かありました。こんなにも静かで地味な作品が、このような栄えある賞を頂けたことを心より嬉しく思います。本当にありがとうございます。
「展開ありきで物語を作るのではなく、人の心を丁寧に描いてその心の動きで物語を作っていこう」このドラマは、脚本の生方美久さんとそう話したところから始まりました。その生方さんが、これがデビューとは思えないクオリティで脚本を仕上げ、それをゴールデン・プライム枠初演出となる風間太樹監督が瑞々しい感性で丁寧に映像化したことで、静かだけど目が離せない独特の世界観が生まれたと思っています。もちろん、川口春奈さん、目黒蓮さん、篠原涼子さんをはじめとする素晴らしい役者さんたちの繊細な演技も「silent」の世界を紡ぐことができた大きな要因だったと思います。
また、地上波放送はもとより、見逃し配信において過去の記録を大きく塗り替える再生回数を記録できたことにも感謝しかありません。連ドラ離れがまことしやかに語られるようになって久しいですが、「じっくり見てほしい」という想いで作ったドラマが配信というメディアで結果を残したことには大きな意義があると思っています。また、配信回数自体がヒットの指標になった初めてのケースでもあったと思います。そういう意味では、連続ドラマの「新しい物差し」を作れたのではないかと思っております。
毎週のようにトレンド世界1位を頂いたことや、聖地巡礼が話題になったことも含め、SNSでの盛り上がりそのものが、このドラマを社会現象と呼ばれるまでに持ち上げてくれました。そのすべてに感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。
作品紹介
フジテレビ系列にて、2022年度10月期木曜劇場枠にて放送した連続ドラマ。
主人公の青羽紬(川口春奈)がかつて本気で愛した恋人である佐倉想(目黒蓮(Snow Man))と、8年という時を経て音のない世界で“出会い直す”という、切なくも温かいラブストーリーを描く完全オリジナル作品。
“当て書き”で作り上げられた本作は、鈴鹿央士、桜田ひより、板垣李光人、夏帆、風間俊介、篠原涼子ら豪華俳優陣が出演。さらにこの作品のためにOfficial髭男dismが書き下ろしで主題歌を提供した。また、配信では3度にわたり“歴代最高”記録を更新し、全11話の「見逃し配信」累計再生数は、6191万再生を達成。さらに、物語の舞台となった世田谷代田駅には聖地巡礼として多くの視聴者が訪れる等、社会現象となった。